【ネットメディア初】スローニュース、JCJ賞を受賞!授賞式に参加してきました

1958年に創設され、半世紀以上の歴史を持つ JCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)。新聞・テレビ・出版・ネットなどメディアの垣根を越えて、優れたジャーナリズムを表彰してきました。
その第68回となる2025年のJCJ賞を、 スローニュースがフロントラインプレスとともに受賞 しました!その授賞式に参加してきました。

受賞対象となったのは、 「選挙運動費用・政治資金をめぐる一連の報道」と「選挙運動費用データベースの構築」。政治とお金というテーマに正面から取り組み、調査報道に加えて社会に開かれたデータベースを作った点が高く評価されました。長い歴史ではじめて、Webメディアが受賞したということです!!

ソ連軍に性接待を強いられた女性の証言

9月27日(土)、東京・水道橋の全水道会館にて贈賞式が行われました。
会場には受賞者や関係者が集まり、講評やスピーチに熱気がこもります。

さらに記念講演では、映画『黒川の女たち』の監督・松原文枝さんが登壇し、「戦後80年・映画から伝えたいこと」と題してメッセージを届けてくれました。

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松原さんの講演は心に響きました

映画『黒川の女たち』は、岐阜県旧・黒川村(現・白川町)から満蒙開拓団として満州に渡った人々の中で、敗戦後の苛酷な状況のなかでソ連軍に“性接待”を強いられた女性たちの実態を、当事者証言を中心に描くドキュメンタリーです。

映画『黒川の女たち』公式サイト1945年関東軍敗走の満洲で待ち受けた、黒川開拓団の壮絶な運命― 戦争と性暴力の事実、いま知るべきことがここに在る。7/1kurokawa-onnatachi.jp

当日都内での上映も満席だったとのこと。ぜひ観てください。

「大震災の前から虐殺事件は起きていた」

そして今年の JCJ大賞 には、ジャーナリストの 安田浩一さん の『地震と虐殺 1923-2024』が選ばれました。

受賞作は、関東大震災(1923年)直後に、「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」といったデマが各地で流布され、それが引き金となった多くの虐殺事件の実態を、東京・神奈川・千葉・埼玉など各地での事例を足を運んで取材し、丹念に掘り下げています。

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本書は単なる過去の記録にとどまらず、「記憶を葬ろうとする力」「差別・偏見が再燃しうる現代性」への警鐘も伴います。

授賞式のスピーチでも安田さんは「関東大震災が原因で朝鮮人が殺されたというのは違います。それ以前から虐殺事件はおきていました」と指摘しました。差別を「天災」に閉じ込めようとする政治と社会や、行政・メディアの責任と構造、そしていまも日本社会が抱える差別との連続性について厳しい問いを投げかけました。

「長くつづければ化学反応を起こすと信じてきた」

今回、受賞した 「選挙運動費用データベース」は収支報告書を収集し、比較・分析できる仕組みを整え、手書き文字の検索機能まで備えています。
単なる記事発信にとどまらず、社会にとっての「使える道具」を作ることを目指した点が、新しいジャーナリズムの形として高く評価されました。

選挙運動費用データベースのメンバーも、スピーチを行いました。

  • フロントラインプレス代表の 高田昌幸さん
    「JCJは実は3回目の受賞。最初は北海道新聞記者時代に北海道庁の裏金で、次は北海道警察の裏金で受賞。それから30年。きちんとした取材が必要という思いで、ひたすら調査報道に取り組んできた。ひとつのことを続けることは、さまざまな化学反応を生むと信じてきた。このデータベースの構築も、今回の受賞もその反応のひとつです。今日はとてもよい日です」
  • データベースに協力した日本大学法学部の 安野修右准教授
    「この選挙費用データベースは宝の山です。研究者もジャーナリストもたくさんの人に使ってほしい。そのフィードバックもください」
  • スローニュース・シニアコンテンツプロデューサーの 熊田安伸さん
    「スローニュースはみなさんの力をかりてジャーナリズムをアップデートしていきたい。テクノロジーの力で膨大なデータも読めるようになった。最近では森友事件の公文書もデータベースとして公開しました。ぜひ使ってください」

どの言葉からも、この取り組みを単なる“受賞”で終わらせるのではなく、次につなげたいという決意を感じました。

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向かって左から熊田さん、高田さん、安野さん、そして大賞の安田さん

そして、これからの挑戦へ

今回の受賞は、テクノロジーが新しい可能性を示す大きな一歩として評価されました。

政治資金の透明化はもちろん、報道とデータを組み合わて、それを誰もが使えるかたちにすることで、ジャーナリズムやアカデミズムが社会に新たな知見を提供する可能性を切り拓きました。

選考委員のひとりであるノンフィクション作家の斎藤貴男さんは「デジタルの力でデータをオープンにしていく方法がとても可能性を感じました。ネット嫌いのぼくが評価するのだから、それだけのものと思ってください」と冗談交じりで激励してくれました。

今回、同時に安田浩一さんの歴史的な検証活動が大賞に選ばれたことは、過去の記憶と現在を結ぶジャーナリズムの力を改めて示したと思います。こうしたジャーナリストたちの取り組みと並んで評価されたことは、大きな励みとなります。

今回のJCJ賞受賞を糧に、さらに深い取材とデータ公開のあり方を探っていきます。

ジャーナリズムをアップデートし続けるために、今後もみなさんの力を借りながら、新しい試みに挑戦していきたいと思います。

引き続き、スローニュースをよろしくお願いします!(瀬)

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